河上 良

河上 良
循環器内科(留学中) 留学先:Cardiovascular Division, Brigham and Women’s Hospital, Harvard Medical School 河上 良 【出身校(卒年)】香川大学(2011年) 【初期研修先】香川大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター 【研修時期】平成21~22年度

『先人・上司に理想・憧れ・敬意はありますが、同じ存在は(時として必ずしも)必要とはされない、チャンスは黙って口を開けていても与えられるものではない』と信じています。

香川大学平成19年卒の河上良と申します。医師としてちょうど10年目、節目の年を迎えた2017年1月よりアメリカ・ボストンにありますハーバード大学Cardiovascular部門に留学し、Dr. Elena Aikawa labにて冠動脈石灰化および不安定プラーク因子の研究を日々行なっています。

今回「先輩医師からのメッセージ」ということで、簡単ではありますが私の入局動機・経験など…これから同じ循環器内科医としての道を目指している、もしくは考えている研修医の先生・学生の皆様にとって少しでも参考になっていただければと思います。

私が循環器内科医を目指し、循環器・腎臓・脳卒中内科学教室への入局を決めたのは『心臓を動かしたかった。カテーテル治療がしたかった。』から。簡潔に述べるとこの一言だと思います。ただ、同じ循環器内科医であっても、心血管カテーテル領域、心不全領域、不整脈領域(カテーテルアブレーション治療含め)、心エコー領域、放射線診断領域、心臓生理学領域、高血圧・脂質異常症・糖尿病含めた生活習慣病領域などなど、専門性は多岐にわたります。カテーテル治療をただ‘行なう’だけであれば、フリーランスの医師であっても可能です。もしかしたらカテーテル治療で有名な市中病院に出ていれば手術経験数だけで言えばより多くの経験を積めたかもしれません。ただ、カテーテルに触れる前に、自分が選んだ循環器領域の様々な疾患・病態を勉強・経験した上で、自分の好きな専門性に進みたい!そう思って、選んだのが入局及び大学での研修でした。大学病院は、『特殊な病気が多い…症例数が少ない…カンファがやたら多くて長い…』これは私自身も学生時代に感じていた率直な見解です。ただ研修医となり修練医となり、そして一人の医師として歩み始めていく上で、自ずと自覚を持つようになり、大学病院で行なった研修・カンファがとても重要な経験だったと感じている今日この頃です(上手く述べ過ぎかもしれません…ただ、教科書で見るのと、実際に主治医となって担当し、良しも悪しも経験するのとでは全く違います)。

この大学での研修を糧にその後、有数のカテーテル治療経験・症例数を誇る病院での多くの経験をさせていただき、その後大学へ帰ってさらに知識を深め、今は2016年の1年間の大阪大学での国内留学を経て、アメリカでの研究生活をスタートさせています。多くの上司・同僚・後輩と出会い、恵まれながらの10年であったと心より感謝致しております。

今、学生時代からの夢の一つであった海外留学生活にようやく辿り着きました。研究テーマは『Vascular inflammation and calcification』で、主に不安定プラークの機序となる微小石灰化のメカニズムと治療法に焦点を当てin vitro, in vivoでの研究を開始しております。ただ、アメリカへ来て生活の立ち上げ(アパート契約、携帯電話・インターネット契約、保険・車の購入などなど)だけでも、minor troubleの連続で一つ一つがすんなり進まず、ストレスを感じるとともに(今まで日本では感じなかった)生活をしていくということだけでも、一苦労。。しかも瀬戸内海沿岸で育った自分にとって、日々マイナス世界での生活、Snow Stormの嵐…さらにはPIとのDiscussionにlab meetingでは当然のことながら英語でのやり取り…結果が全てのこの国で、自分の伝えたいことの半分も伝えられず…正直、萎えてしまいそうになることも多々あります。ただ2ヶ月経ち、アメリカ慣れしてきたのか?Bostonの人々の温かさ、labメンバーとの食事、Off time(旅行、スポーツ観戦、スケート、スノボーなど)を楽しみながら日々研究に励んでおります。また帰国して、これらの経験を皆さんと分かち合えたら…と思います。

最後に、あれだけ「臨床、緊急でのカテ、カテ!」と言っていた私が、なぜ研究に?とよく言われます。正直、頭を働かせるのは苦手です…病態メカニズム…考えても分からないときは分かりません…ただ、もう少し深く臨床を理解するために背景となるbasic scienceが必要だと感じていたことと、日常の煩雑さから少し離れて(平たく言えば、一息ついて頭を冷やすということですが…)自分の将来を考えたかった、というのが正直な理由だと思います。この留学生活がこれからの私にとってとても大きな財産になると今は信じています。『先人・上司に理想・憧れ・敬意はありますが、同じ存在は(時として必ずしも)必要とはされない、チャンスは黙って口を開けていても与えられるものではない』と信じています。まだまだ医師としては浅いですが、私の経験がこれから循環器内科医を目指す皆さんにとって、少しでも参考になればと思います。