私が初めて腎臓に興味を持ったのは学生実習のときでした。3年生の時に薬理学の教室に出入りするようになり、その際に腎臓の生理学に触れて腎臓のおもしろさを知ることができました。その時に腎臓内科の先生とお会いする機会があり、そのままなんとなくではありましたが腎臓についてもうすこし深くかかわりたいと思うようになりました。
腎臓内科を回ったのは研修医になってすぐのことでした。その当時は医師になったばかりで、右も左も分からないまま、仕事を覚えるのに精一杯だったと思います。
その研修に回った際に、私と同年代の患者さんが腎不全で入院しており、透析を受けていました。透析療法をしながら元気に生活されている方はいますが、透析を行うということは時間的な制約がつきものになってしまいます。透析になるのを食い止めたいという思いが強くなり、病気の原因を突き止め、新しい治療を発見したいと思うようになりました。
現在大学病院で働いていますが、当科の特徴としては腎臓病から腎不全まで一貫して診ているところかと思います。腎不全の管理をしながら、透析が必要な状態になると内シャントや腹膜透析カテーテルの手術を行い透析導入し、維持透析になるとシャントPTAを行い、シャントの管理を行うといった透析前から透析の導入、維持透析の管理までを一貫して行っております。また循環器科と同じ講座のため、心血管リスクの高い慢性腎臓病の患者、透析患者において、気軽にコンサルトし、発症予防に努めております。また腎炎・ネフローゼ患者の方が多く入院してくるため、腎生検を行い、病理診断科の先生方と一緒になって迅速に診断して早期に治療を開始できるといったところで患者さんに早く治療を提供できていると思います。
現在病棟を主に診ていますが、患者さんの方針について上級医に相談することもありますが、おおむね自ら方針を立て、元気に帰っていただいた際には医師をやっていてよかったなと実感します。また自身で行った手術で退院後、再度入院した際にシャントがうまく発達していて透析導入できているとうまくいってよかったとほっとします。
腎臓内科はもちろん腎炎・ネフローゼ症候群・腎不全をみていく診療科ですが、水・電解質異常、糖尿病性腎症でみられるように糖尿病についての知識、二次性高血圧でみられる内分泌疾患、膠原病に関連した腎炎、腎臓病で多い心血管病、栄養療法など幅広い知識が問われる科ではないかと思うので、腎臓だけでなく、幅広く内科を診たい先生は非常によい診療科ではないかと思います。腎臓に興味がある方、やる気のあるみなさんとぜひ一緒に仕事しましょう。