教室紹介

~ Our Policy ~
地域と歩み、ひとを育む

教室紹介

診療グループを総括するご案内

心臓グループ、腎臓グループ、抗加齢血管内科(脳卒中を含む)グループが一つの教室に存在し、緊密な連携を取りながら、循環器系疾患患者にトータルな医療を提供できるユニークな特色を持つ教室です。例えば、「左室収縮能が保持された心不全」を併存した慢性腎臓病患者や末期腎不全患者における心筋梗塞などの心血管系合併症などは、腎臓専門医と循環専門医が連携して治療を行っています。また、近年、急性期脳梗塞に対する経皮経管的脳血栓回収用機器を用いた血管内治療の有効性が示されたため、今後、カテーテル手技に精通した循環器内科医と脳神経血管内治療医が連携して治療にあたる場面が増えてくると思われます。心・腎・脳連携で、心血管疾患患者に対するトータルな医療を提供しています。

教室運営においての理念、基本方針

香川大学の学生、教室員を大切にし、香川県の地域医療を支える良医を育成します。また、安心・安全の標準療法に加えて、新しい治療法を開発し、病気で苦しんでおられる患者に新たな治療法を届ける特定機能病院としての役割を果たします。真摯な診療の中から生じる「なぜ、病気がよくならないのか」「もっと患者負担の少ない治療法、診断法はないのか」と思うクリニカルクエスチョンを大切にし、臨床現場の課題を研究で解決することができる「physician scientist」を育成し、基礎研究成果を臨床現場に還元していきます。教室員には、ステージに応じた活躍の場を提供し、豊かな人生を送ることを支援します。

将来的な展望(将来的に目ざすもの)

香川県の地域医療を支える人材の育成や循環器救急医療ならびに安心・安全の標準療法の実践に加え、「心・腎・脳連関により香川発の新しい医療を開発し、地域・世界の患者に届ける」ことを目標に教室員が一丸となって取組んでいきます。

運営方針

教育方針

患者と向き合うPhysician scientistを育成する

学生や初期研修医には、詳細な問診に加え、血管雑音、心雑音、過剰心音などの聴診、頸部の視診、末梢動脈の触診などの身体所見を丁寧にとることの大切さを繰り返し指導しています。これらの基本となる医療技術の体得に加えて、患者が痛みを訴えられる場所を丹念に「診る」、「触れる」など、患者さんと正面から向き合い、寄り添うことの大切さも伝えていきます。毎朝のミーティング、入院症例検討会、指導医による症例解説、心臓・腎臓グループ合同カンファレンスにおける臨床研究・治験、最新論文紹介、大学院生基礎研究発表などの機会を通じて、学生・研修医、そして、教室員がともに学び、ともに成長する機会を多数設けています。特に、初期研修医には、学会での症例報告を勧めています。報告を重ねるごとに、研修医のみなさんが大きく成長する姿をみることは私たちにとって大きな喜びです。後期研修医や若手教室員には、「できないこと」、「わからないこと」が当たり前と思わないように伝えています。そこから生じるクリニカルクエスチョンを解決するためには研究が必要であり、これらに取り組むリサーチマインドを持った「Physician scientist」を育成したいと思っています。さて、アメリカの内科医ウィリアム・オスラー博士の有名な言葉に、「人は血管とともに老いる」があります。当教室で取り組んでいる疾患の中には、虚血性心疾患、腎硬化症、脳卒中、末梢動脈病変などのまさしく血管に起因する病気が多くあります。本教室は、冠動脈疾患や末梢動脈疾患に対する血管内治療、そして、脳外科の先生方と一緒になった急性期脳卒中治療を含め、全身の血管内治療を「one-stop」で学ぶことができるユニークな教室です。香川県下のみならず全国から若手医師を募集しています。また、心臓移植認定施設と緊密な連携の下、重症心不全患者の診察を行っており、標準治療に加えて、高度先進治療も学ぶことができます。大学院生には、基礎研究と臨床研究を往還しながらクリニカルクエスチョンを解決し、臨床現場に新しい治療法を還元する研究を目指しています。最後に、教室員には、海外留学を勧めています。世界を体験し、海外で得られたことと日本での経験をブレンドして自分独自のものを創り上げ、香川大学で力を発揮していただきたいと思っています。本教室では、香川の学生・教室員を大切にし、各々のステージに応じた活躍の“場”を与え、優れた医療人・研究者を育てていきます

診療方針

心・腎・脳専門医が一丸となり、
地域の“最後の砦”としての役割を果たす

2017年4月より、香川大学医学部附属病院循環器内科・腎臓内科・抗加齢血管内科の診療体制が大きく変わりました。循環器系救急患者に対応するため、医療機関向けのホットラインを新たに開設いたしました。当院救命救急センターの先生方と一丸となって、虚血性心疾患、心不全、不整脈などの急性期心疾患患者や緊急透析が必要な腎不全患者の救急治療を循環器専門医・腎臓専門医が24時間体制で診療を行なっております。さらに、外来診療では、「初診外来」・「専門外来」を開設し、地域の先生方から患者を紹介いただきやすい体制を整えました。今後、香川県・四国の循環器系疾患に対する救急医療にさらに積極的に取り組み、心臓血管外科の先生方とともに地域の“最後の砦”としての役割を果たしていきます。同時に、虚血性心疾患に対するカテーテル治療、重症心不全に対する心臓再同期療法、不整脈に対するアブレーション治療やエビデンスに基づく薬物療法などの丁寧な標準治療を行います。また、香川県慢性腎臓病対策協議会を通じての慢性腎臓病に対する啓発・合併症予防、各種腎炎治療、透析導入に加え、慢性腎臓病患者で多く認められる心不全、心筋梗塞、脳卒中などの心血管疾患の治療を心臓グループと腎臓グループが力を合わせて、患者治療に当たります。さらに、人工心臓装着・心臓移植適応となるような重症心不全患者や心臓移植後患者・腎臓移植後患者に対する高度先進医療を実施し、地域の皆様に高度で最新の医療を提供いたします。そして、香川大学医学部附属病院の他科の先生方と協力しながら、膠原病・肺疾患との合併が多い肺高血圧治療や心不全・腎不全患者に対する抗がん剤治療をそれぞれの専門医と協力して行い、総合病院としての香川大学医学部附属病院の特色ある医療に貢献してまいります。これらの実践のため、市民公開講座などで県民のみなさまと交流を図り、地域の病院や診療所のみなさまとの連携を深めていく所存です。

研究方針

臨床現場の未解決課題を克服する

研究は大学病院と他の病院が大きく異なる点です。急性心筋梗塞患者に対する再灌流療法が成功したにも関わらず、心機能がむしろ障害される虚血再灌流傷害はなぜ生じるのでしょうか?また、心不全の約半数を占める「左室収縮能が保持された心不全(HFpEF)」に対する有効な治療法は未だ確立されていません。多くのHFpEF患者では腎機能障害が認められますが、両者の関連も十分に解明されていません。さらに、腎生検は患者さんのみならず実施する医師にもとてもストレスがかかる検査です。腎生検は画像診断で代用できないのでしょうか?このように臨床現場には未解決な課題が山積しています。これらの課題を解決するためには、心筋虚血再灌流傷害の成立機序や拡張不全の病態を明らかにするための基礎研究が必要です。また、腎生検で認められる増殖メサンギウム細胞の膜表面に発現している分子を検索する必要もあるでしょう。日頃、各教室員が感じているクリニカルクエスチョンを解決するために基礎研究や臨床研究を行い、その成果を臨床現場に還元していきたいと思います。また、原因不明で、治療方法が確立されていない“難病”に対して、次世代シークエンサーを用いたゲノム解析プロジェクトを大阪大学と共同で実施しています。特に、家族歴を有する難病患者さんたちの病態をゲノムレベルで解析を進め、原因遺伝子を同定し、治療法の開発を進めます。さらに、産学連携により、心房細動検出や心不全モニタリングの医療プログラムや医療機器の開発を進めていきます。近年、“心不全パンデミック”と叫ばれるほど、心不全患者は激増しています。しかし、増加する心不全患者をチーム・地域で診る体制は確立されていません。日本最大の医療ITネットワークであるK-MIX(かがわ遠隔医療ネットワーク)を活用して、心不全に対する新しい地域医療や臨床試験・治験プラットフォームを整備しています。限られたマンパワーですが、教室員が力を合わせて、心・腎・脳連携で特色のある研究を展開していきます。

当教室の強み・特徴

心・腎・脳連携でトータルな医療を提供

心臓グループ、腎臓グループ、抗加齢血管内科(脳卒中を含む)グループが一つの教室に存在し、緊密な連携を取りながら、循環器系疾患患者にトータルな医療を提供できるユニークな特色を持つ教室です。例えば、「左室収縮能が保持された心不全」を併存した慢性腎臓病患者や末期腎不全患者における心筋梗塞などの心血管系合併症などは、腎臓専門医と循環専門医が連携して治療を行っています。また、近年、急性期脳梗塞に対する経皮経管的脳血栓回収用機器を用いた血管内治療の有効性が示されたため、今後、カテーテル手技に精通した循環器内科医と脳神経血管内治療医が連携して治療にあたる場面が増えてくると思われます。心・腎・脳連携で、心血管疾患患者に対するトータルな医療を提供しています。

全身の血管内治療を「one-stop」で学ぶことができる

虚血性心疾患、心不全、不整脈などの急性期心疾患患者や緊急透析が必要な腎不全患者の救急治療を循環器専門医・腎臓専門医が24時間体制で診療を行なっています。また、救命救急や脳神経外科と先生方と一緒になって、日本心血管インターベンション治療学会認定医が脳梗塞治療に参加しています。また、閉塞性下肢動脈硬化症に対する血管内治療も実施しています。すなわち、本教室は全身の血管内治療を「one-stop」で学ぶことができるとてもユニークな教室です。さらに、人工心臓装着・心臓移植適応となるような重症心不全患者や心臓移植後患者・腎臓移植後患者に対する高度先進医療を実施し、高度で最新の医療を学ぶことができます。そして、膠原病・肺疾患との合併が多い肺高血圧治療や心不全・腎不全患者に対する抗がん剤治療をそれぞれの専門医と協力して行い、新しい循環器医療の分野についても学ぶことができます。

香川大学の“強み”を活かした研究
-心・腎・脳連関により香川発の新しい医療を開発し、地域・世界の患者に届ける

研究は大学病院と他の病院が大きく異なる点の一つです。日頃、臨床現場で感じているクリニカルクエスチョンを解決するために基礎研究や臨床研究を行い、臨床現場に還元していきます。また、原因不明で、治療方法が確立されていない“難病”に対して、次世代シークエンサーを用いたゲノム解析を行うプロジェクトを開始しました。さらに、産学連携により、心房細動検出や心不全モニタリングの医療プログラムや医療機器の開発を進めていきます。最後に、香川(大学)の強みを活かします。日本最大の医療ITネットワークであるK-MIX(かがわ遠隔医療ネットワーク)を活用して、心不全に対する新しい地域医療や臨床試験・治験プラットフォームを整備します。さらに、香川大学が得意な希少糖を用いた医薬品の開発に着手しました。香川大学の“強み”を活かした研究をベースにして、心・腎・脳連関により香川発の新しい医療を開発し、地域・世界の患者に届けることを実現していきます。