循環器・腎臓・脳卒中内科学 教授
南野 哲男
MINAMINO, Tetsuo
学生や初期研修医には、詳細な問診に加え、血管雑音、心雑音、過剰心音などの聴診、頸部の視診、末梢動脈の触診などの身体所見を丁寧にとることの大切さを繰り返し指導しています。これらの基本となる医療技術の体得に加えて、患者が痛みを訴えられる場所を丹念に「診る」、「触れる」など、患者さんと正面から向き合い、寄り添うことの大切さも伝えていきます。毎朝のミーティング、入院症例検討会、指導医による症例解説、心臓・腎臓グループ合同カンファレンスにおける臨床研究・治験、最新論文紹介、大学院生基礎研究発表などの機会を通じて、学生・研修医、そして、教室員がともに学び、ともに成長する機会を多数設けています。特に、初期研修医には、学会での症例報告を勧めています。報告を重ねるごとに、研修医のみなさんが大きく成長する姿をみることは私たちにとって大きな喜びです。後期研修医や若手教室員には、「できないこと」、「わからないこと」が当たり前と思わないように伝えています。そこから生じるクリニカルクエスチョンを解決するためには研究が必要であり、これらに取り組むリサーチマインドを持った「Physician scientist」を育成したいと思っています。
さて、アメリカの内科医ウィリアム・オスラー博士の有名な言葉に、「人は血管とともに老いる」があります。当教室で取り組んでいる疾患の中には、虚血性心疾患、腎硬化症、脳卒中、末梢動脈病変などのまさしく血管に起因する病気が多くあります。本教室は、冠動脈疾患や末梢動脈疾患に対する血管内治療、そして、脳外科の先生方と一緒になった急性期脳卒中治療を含め、全身の血管内治療を「one-stop」で学ぶことができるユニークな教室です。香川県下のみならず全国から若手医師を募集しています。また、心臓移植認定施設と緊密な連携の下、重症心不全患者の診察を行っており、標準治療に加えて、高度先進治療も学ぶことができます。大学院生には、基礎研究と臨床研究を往還しながらクリニカルクエスチョンを解決し、臨床現場に新しい治療法を還元する研究を目指しています。
最後に、教室員には、海外留学を勧めています。世界を体験し、海外で得られたことと日本での経験をブレンドして自分独自のものを創り上げ、香川大学で力を発揮していただきたいと思っています。本教室では、香川の学生・教室員を大切にし、各々のステージに応じた活躍の“場”を与え、優れた医療人・研究者を育てていきます。